『In-between 13人の写真家 25カ国』
EU・ジャパンフェスト日本委員会刊 2200円(税別)
「In-between」とは、「媒介者」という意味だという。統合、拡大に向かうEU25カ国に13名の日本人写真家が「媒介者」として派遣され、2〜3週間滞在し、1冊の写真集に編集してゆく。すでに13冊が発行され、この14冊目は、すべての参加写真家の写真を、石・壁、言葉、食など6つのテーマで再編集したものだ。写真は誰かが撮ったどんな写真であっても、イメージの歴史の産物だ。そして、「私」と「他者」との出会いの融合性だ。街や人が、撮られる前から人に見られるように成立していることを思うと、「自分」が撮るなどとも軽はずみに言えるわけでもない。写真は素朴に見えて、厄介だ。写真家たちは、異国にストレンジャーとして送られ、写真を撮る。全巻を通して見てみると、多種の「まなざし」を感じるし、どの「まなざし」が、「求めるべきもの」で、どれが「中途半端」か考えさせられる。そして発見点の「妥当性」と「浅さ深さ」をも、考えさせられるのだ。すでに学習された「まなざし」では駄目なのがわかる。異質なものとの「交わり」は少ない。そして、移民によってひき起こされているコンフュージョンも少ない。だからといって、「内向的な日本人たちの写真」などと言うつもりもない。たしかにヒントがある。経済のグローバリゼーションによる画一的な風景の記録をこえ、どこの国のものでもない、「来たるべきイメージ」を予感させるそんな写真がないかと、僕は何度もこの写真集のページを繰っている。