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仲條正義作品集
『仲條のフジのヤマイ』
(2002年・リトルモア)
スパイラル、ザ・ギンザのロゴデザインから資生堂パーラーのパッケージ、30年以上努める資生堂のPR誌『花椿』のアートディレクターなど、常に斬新なアプローチを見せるグラフィックデザイナー・仲條正義。グラフィックデザイン界でもひときわ異彩 を放つ彼のモノ作りのスタンスや瑞々しい感性、その作品や存在に影響を受けたデザイナーも少なくはありません。本書は「富士」をモチーフにした三十六点の作品と、後藤繁雄の質問に仲條氏が答えるかたちでの一問一答「仲條三十六景韜晦問答」を収録。天綴じで縦見開きのビニール入りです。懐かしくも新鮮で、どこかナゾめいたフジの姿「フジ三十六景」をご堪能ください。
仲條三十六景韜晦問答(一部抜粋)
第一問
G-その名のとおり「正義」であるか?
N-ブッシュが言うほどの正義ではない。背丈は1メートル60センチ、体重60キロの正義である。
第三問
G-あなたはインモラルであるか?
N-モラルとインモラルの境界がはっきりしない。
第七問
G-あなたの不治の病は?
N-臆病
第九問
G-ファッションとは何か?
N-「うつろひ」。芸術の本質だと思う。ファッションは軽く本質に触れられる。
第十ニ問
G-女と男とどちらが得であるか?
N-想像できない。胸が出っ張って股間が淋しいなんて。
第十六問
G-デザイナーの幸せとは何であるか?
N-一般には金を稼ぐことが第一義で、ついでに名声がついてくる。権力がないから身辺を飾りたてる。
第廿七問
G-デザインは技か? 知恵か?
N-二十世紀は技、二十一世紀は知恵。
第廿八問
G-デザイナーをこれから志す若者にひと言。
N-急げ。時間がない。
第卅五問
G-デザインにおいて、やってはいけないことは?
N-模倣。想像は模倣で始まってそれから逃げ出すプロセスである。
第卅六問
G-このすべての告白は真実なりや?
N-嘘と真の薄い皮膜の間だね。誰も本当のところなんか喋りやしない。デザインみたいなもんです。
仲條正義(なかじょう・まさよし)
1933年東京生まれ。'56年東京芸術大学美術学部図案科卒。同年資生堂宣伝部入社。'59年デスカ入社。'60年フリーとなり、'61年仲條デザイン事務所設立。資生堂PR誌『花椿』、ザ・ギンザ、松屋銀座、ワコールスパイラルの計画、資生堂パーラーなど、幅広いアート・ディレクションおよびデザインを手掛ける。ADC賞、ADC会員最高賞、SDA賞、講談社出版文化賞、ブックデザイン賞、日本宣伝賞山名賞、日本パッケージデザイン協会賞、毎日デザイン賞、TDC会員金賞・銅賞、全国カレンダー展通 商産業大尽賞など、数々の賞を受賞。