『THUMBSUCKER: POTOGRAPHY FROM THE FILM BY MIKE MILLS』
Mark Borthwick Todd Cole Takashi Homma Ryan McGinley Ed Templeton
Iconoclast刊/$29.95
このあいだ「後藤サンは、映画と写真とどっちが好き?」という乱暴な質問をされた。僕はとっさに、「写真」と答えた。なぜなら映画は、シーンを使って一つの物語を伝えようとするけど、写真はもっと自由だ。それに、映画にしたって、実際は静止したシーンとして脳に記憶されるからね。
先日、マイク・ミルズが来日した時、彼の初めての長篇映画『サムサッカー』のことをインタビューした。映画は超オーソドックスに徹していて、それはそれでマイクの意気込みが感じられるが、僕はその前に、この同名の写真集を見ていたので、本当はちょっと複雑な気持ちだった。
もちろん映画と写真は別だけど、この写真集はかなり素敵だ。本人だって、こっそり、「写真集はもう100点だね」と苦笑いしてたもん。映画を撮るという現実、リアルがいろんな眼で撮られている。5人の写真家とマイクのつきあいの経緯は後ろに彼自身が書いているが、彼らはみな、現実の儚さの価値を誰よりも知った者ばかり。これは決して映画のスチール集でもメイキング写真集でもなく、「美しい時」の記録なのだ。