DOKU-TOKU ROJIN
『独特老人』
(2001年・筑摩書房)
人に逢い驚くこと。その絶景を見に行くこと。'80年代の終わり、ただそのことがしたいと思って、先生探しの旅にでた。老人とは前線であり、前衛である。もっとも鋭く時代を破ろうとしてきたフロンティアたちである。独特とは、「独り」で「特別」、光速で回転する独楽のような人。彼らは無尽蔵に僕に胸襟を開き、何でも盗れと言った。彼がたった今発見した世界の秘密を、とにかく色あせないうちに、消失しない間に、誰かに話さなければならない。人生は短く、芸術は長い。僕は独特老人たちから、たくさんのことを教わった。何もなくても今喋り、今考え、今笑うことから始めればいいということ。世界とちゃんとつきあえば、向こうの方から秘密を教えてくれるのだということを。独特の人は、離れていても、一瞬しか逢わなくても、既に死んでしまっていても、そのとりこになる。10数年の歳月を経て放たれる、インタビューの総決算本。
収録者——
森敦/埴谷雄高/伊福部昭/升田幸三/永田耕衣/流政之/山田風太郎/梯明秀/淀川長治/大野一雄/杉浦明平/下村寅太郎/杉浦茂/須田剋太/安東次男/亀倉雄策/細川護貞/水木しげる/久野収/芹沢光治良/植田正治/堀田善衞/多田侑史/宮川一夫/中村真一郎/沼正三/吉本隆明/鶴見俊輔/全28人