DIALOGUE 1991-1993
ZEN-AKU DIALOGUE
『善悪對談』
(1993年・用美社)
初の著書。資生堂企業文化誌『花椿』に、91年から93年まで連載された同名シリーズ対談をまとめたもの。なぜ「善悪」なのか? 80年代バブルが急速に去って、トレンドと呼ばれた表層的な価値の速度が失速した時、「価値とよりどころ」が何であるかの確認が必要となることは明らかだった。「善悪」は社会的には相対的な価値であっても、個人レベルでは論理の枠組みに整理されない「倫理」感覚に基づいている。知的な整理が単なる表層的なレトリックやゲームになってしまう中で、もう一度リアリティを見直すためには「善悪」を通し、世界を見直すことはタイムリーな経験だった。さらに、善や悪を力としてとらえ、その力をどうやって人はつくろうとしているのか、その動機やプロセスを探るスリリングな旅でもあった。この本はグルジアを旅行した時に、ある教会で手に入れた「聖書」をモデルに装丁した。それ以降のシリーズの大きさはここから来ている。
主な対談者—松山俊太郎/塩野七生/野村武司/鈴木清順/島田雅彦/升田幸三/堀米ゆず子/井上章一/山本耀司/安藤忠雄/ピーター・グリーナウェイ/森村泰昌/関野吉晴/塩月弥栄子/赤瀬川原平/マイケル・クラーク/香山リカ/野口武彦/星野道夫/中島らも/荒木経惟/エイミ・タン/種村季弘 /全26人